ウェルネスフード
2023年8月3日

はちみつの栄養と効果的な食べ方を山田養蜂場の人に聞いてみた (1/2)

みんな大好き「蜂蜜(はちみつ)」。ホットケーキやパンケーキ、あるいはフレンチトーストなどにたっぷりかけていただくと、なんとも幸せな気持ちになります。眠れない夜、ホットミルクにはちみつをいれて飲んだ記憶がある人も多いのでは。

そんなはちみつの“イイトコロ”を、ミツバチ製品の開発・通信販売を行う山田養蜂場にインタビュー。はちみつを食べるメリットやおすすめの食べ方、また選び方などを聞いてみました。

 [教えてくれたのは]
松﨑英典(まつざき・ひでのり) 山田養蜂場 R&D 本部 R&D サービス 開発室 室長。2012 年山田養蜂場入社。 R&D現職では研究所で培った知見を活かし、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事している。

第1章 はちみつのいいところ

はちみつのカロリーと栄養素

──はちみつのカロリーと栄養素について教えてください。はちみつの種類にもよると思いますが、平均などあれば教えていただきたいです。また、太りにくいなど成分面での特徴もあれば知りたいです。

「はちみつのカロリーは、ティースプーン1杯(4g)あたり約12kcalです。それに対し、 砂糖の主成分であるショ糖は4gあたり約16kcalであり、同じ量で比べたとき、はちみつのほうがローカロリーです。はちみつの主成分は、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)です。この2つは『単糖類』と呼ばれ、これ以上分解される必要がないため、体に入るとすばやく吸収され、すぐにエネルギーに変換されます。そのため、胃腸への負担も軽くすみます。一方で、砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)は、ブドウ糖と果糖が結合した『二糖類』であり、体内で吸収する際に分解する必要があるため、はちみつに比べ、吸収効率が悪く、胃腸への負担がかかります」(松﨑さん)

──すみやかに栄養補給をしたいときは、甘いものの中でもはちみつがよさそうですね。

「はちみつの主成分であるブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源です。朝起きたときや勉強・仕事のときなど、頭を働かせたいタイミングで摂るのがおすすめです。はちみつは、天然の甘味料としてはもちろん、健康食品としても世界各国で利用されてきました。エネルギー源となる糖分をはじめ、ビタミン B1、B2、C などのビタミン類、カルシウム、鉄などのミネラル類、必須アミノ酸を含むアミノ酸、酵素、有機酸、ポリフェノールなど非常に多くの有用成分も微量ですが含まれています」(松﨑さん)

──多くの栄養が詰まっているはちみつですが、食べることによって、カラダにどんなメリ ットが期待できるのでしょうか。

「はちみつは、血糖値を上げにくい食品であることが研究によりわかっています。さまざまな種類の蜂蜜の GI値(食品を摂取したときの血糖値の上がりやすさの指標)を調べたある研究論文で、多数のはちみつが低 GI食品(GI値55以下)であることが示されています(※1)。一方で、砂糖の主成分であるショ糖のGI値は110と別の研究論文で報告されています(※2)」(松﨑さん)

(※1)The American journal of clinical nutrition 76.1 (2002): 5-56.
(※2)Diabete & Metabolisme, 1994, 20.3: 291-296.

──ほかにはどんなメリットが考えられますか?

「一般論として、はちみつは眠りをサポートすると言われています。不眠の原因は生活リズムの乱れや心理的影響などさまざまありますが、ストレスホルモンの分泌も原因のひとつと考えられています」(松﨑さん)

──たしかに、空腹すぎる状態で寝ようとしても寝つきが悪いことも多いです。ホットミルクにはちみつを入れるおなじみのレシピも、もしかしてそうした理由からなのかもしれませんね。ちなみに、栄養や心身以外に、はちみつをとり入れるメリットとは。

「はちみつは、蜜源となる花の種類によって風味や味わいに個性が生まれます。爽やかな甘みのあるはちみつや、深いコクを感じるはちみつなど、普段の食卓に彩りを添えてくれます」 (松﨑さん)

たくさんのはちみつ。色も豊富で、容器もすてきです。

はちみつの食べ方

──1回あたりどれくらいの量を摂るのがおすすめでしょうか。また、推奨の摂取タイミングはありますか?

「お料理などで砂糖の代わりに使用される場合についてご案内します。はちみつの甘さ(舌で感じる甘さ:甘味度)は、砂糖の倍近い甘味を感じることができ、はちみつのほうが少量の使用で満足していただけます。料理に使う際には砂糖大さじ2杯≒はちみつ大さじ1杯といったところでしょうか。お好みのタイミングでお召し上がりいただくのがよいと思いますが、朝、夜9時にはちみつとミルクを混ぜたものを飲用することで、睡眠の質が向上したというヒト試験のデータ(※3)があります」(松﨑さん)

(※3)研究概要:被験者68名を対象に 34名ずつの2群に分け、一方には何も投与せず、もう一方にはミルク 150mL小さじ約4杯(30g)の蜂蜜を混ぜたものを 1日2回、3日間摂取させました。その後、問診票にて睡眠の質を評価した結果、はちみつとミルクを摂取した群では有意に睡眠の質が向上しました(Clin Nutr ESPEN. 2018 Dec;28:132-135.)。

──毎日食べたほうがよいのでしょうか。また、どれくらいの期間続ければ効果を実感しやすいなど目安はありますか?

「医薬品とは違い、あくまで天然の甘味料です。ご自身のライフスタイルにあわせてはちみつを取り入れることをおすすめします」(松﨑さん)

──おすすめの食べ方はありますか?

「そのままお召し上がりいただいても、パンやパンケーキにかけていただいても美味しく召し上がりいただけます。当社のレシピサイトにもさまざまなアレンジ方法が載っています」(松﨑さん)

──熱いコーヒーに入れる、湯気の立つホットケーキにかけるなど、熱を加えても大丈夫でしょうか。

「ビタミンなどの栄養素や酵素をしっかり摂りたいとお考えの場合は、加熱をせずにそのままお召し上が りいただくことがおすすめです(※4)。あたたかいお飲み物に入れて召し上がられる場合は、50℃くらいまで冷ましてから入れることをおすすめいたします。はちみつを含め、食品に含まれるビタミンや酵素はそれぞれ性質が異なり、熱に弱いものがあれば強いものもあるため、加熱することではちみつに含まれるすべての栄養素や酵素が壊れるわけではないと考えております。しかし、中には、長時間にわたって高温で加熱することで、その働きや量が減少してしまうものもあるため、高温での加熱は避けてください」(松﨑さん)

(※4)酵素については、一般的に体温くらいの温度で一番働きが活発になると言われており、60℃くらいの温度でその働きが失われる(失活)と言われているため、酵素の働きを残しておきたい場合は、50℃以下で、できるだけ短時間の加熱がおすすめ。

参考例:
ビタミンC       60℃、1時間の加熱で約50%は残ると言われている。
酵素(アミラーゼ)  50℃、40分の加熱で約50%は残ると言われている。

はちみつの気になるウワサ

──カロリーが気になるのですが、ダイエット中は控えたほうがよいでしょうか。

「お砂糖よりはカロリーが低いため、普段のお食事と調整しながらご使用いただくのがよいかと思います。同じ糖分を摂取するのならば、お砂糖よりはちみつがおすすめです。先述の通り、はちみつは単糖類であるブドウ糖と果糖を多く含むため、速やかに吸収され体内に蓄積されません。そのうえビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養分も含まれます」(松﨑さん)

参考例:
カロリー比較(100g あたり)
はちみつ⇒329kcal
砂糖⇒391kcal

──免疫力を高める目的ではちみつを活用する人もいますが、なにかよい影響はあるので しょうか。

「はちみつの種類によっては、マクロファージ(体内に侵入した病原体や、それらに感染した細胞を食べることで感染を防ぐ白血球の一種)など一部の免疫細胞を活性化させることが、試験管レベルで確認されています。ここ数年、抗菌成分を含むマヌカ蜂蜜の人気が高まっています」(松﨑さん)

──よくある下記の食べ方には、どんなメリットがあるのでしょうか?

はちみつ×大根

「はちみつの中には、抗菌作用や抗炎症作用、鎮咳作用(咳を抑える作用)を有するものがあります。また大根の成分であるイソチオシアネートにも抗炎症作用があります。はちみつ大根は、伝承的に喉の痛み(炎症)や風邪によいとされてきたのは、その理由かもしれません」(松﨑さん)

はちみつ×レモン

「レモンに含まれるクエン酸が乳酸を分解し、はちみつの糖分が運動などで消耗したエネルギーを補給するため、運動後の疲労回復にはぴったりの組み合せです。また柑橘系の香りはリフレッシュ効果もあるので、気分転換にも最適です」(松﨑さん)

はちみつ×紅茶

「はちみつは砂糖よりも少ない量で甘みを感じるため、少量ご使用いただくだけで飲みやすくなります。また、はちみつの種類によりさまざまな風味をお楽しみいただけるため、お好みに合ったはちみつと紅茶の組み合わせを見つけていただくのもよいと思います」(松﨑さん)

はちみつ×ヨーグルト

「はちみつには、腸内環境を整えてくれるオリゴ糖やグルコン酸が含まれています。ヨーグルトと組み合わせることで、整腸作用をより高めることが期待されます」(松﨑さん)

──はちみつ摂取で注意したいこと、デメリットを教えてください。

「1歳未満の乳児は腸内細菌が少なく、腸内環境が整っていないため、はちみつにボツリヌス菌(自然界に広く存在し、食品などにも含まれるとされる菌)という細菌が混入していた場合、まれに菌が腸内で増えて『乳児ボツリヌス症』を起こすことがあります。そのため、食べさせることはお控え下さい」(松﨑さん)

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