2020年3月12日

ゲン担ぎはするけど、ルーティンは作らない?その理由とは│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#36

 みなさん、こんにちは! 陸上競技の寺田明日香と申します!

 あっという間に3月ですね。私のシーズンインもだんだんと近づいてきました。しかし、新型コロナウイルスの流行により、春先の海外での試合が軒並みキャンセルとなってしまった選手も多く、オリンピック参加標準記録やワールドランキングのポイントを狙わなくてはならない私たち選手にとっても、まさに想定外の大打撃になっています。

 私は海外での試合を組んでいなかったので、現時点ではそこまで大きなダメージはありませんが……(お仕事がいつくかキャンセルになったくらいです)。現在もコロナウイルスに関するさまざまな情報が飛び交っていますが、こんなときこそ、惑わされず、正しい情報を見極める力をつけるチャンスだと思って過ごしたいものです……。

 さて今回は、シーズンインまで約1ヶ月ということで、私が実践しているゲン担ぎについて書いていこうと思います。

 最後まで、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

私のゲン担ぎアイテム

 ラグビー選手時代は、プレー中にいつもマウスガードを着けていました。ヘッドキャップやサポーターは場合によって、したりしなかったりで、そのほかのものは、基本的に身につけてプレーすることはできませんでした。

 なので、結婚指輪なども練習時や試合時には外さなくてはいけないため、外したり着けたり繰り返すうちにいつの間にか自宅内で失くしてしまいました(いまだに見つかりません……)。

 昨シーズン陸上選手としてトラックに戻ってからは、レースでもアクセサリーなどのアイテムを着けてレースに出ることができるようになったため、練習時やレース時に身につけるアイテムがいくつかできました。

 ひとつめは、私の頭と右手首に付いているミサンガのようなもの。これは、AXF(アクセフ)のカラーバンドで、集積機能ミネラル結晶体(IFMC)という特殊な加工がされていて、体幹の安定やリカバリー効果が得られるというバンドです。

 陸上競技に戻ってからご縁があり、手首に巻いてトレーニングを行っていました。昨年のシーズンイン前には、ヘアバンド用にもう1本追加。いまは2本のバンドを着けています。

 2つめは、Apple Watch(アップルウォッチ)です。これは脈拍のチェックや、1日の活動量を見るためにいつも着けています。「レースのときぐらい外せば?」と、よく言われるのですが、ふだんから着けてトレーニングしているので、ふだんのトレーニングと感覚を変えないためにそのまま着けてレースを走っています。ちょうどいい重さで、なんとなく安心感もあります。

 3つめは、アクセサリーデザイナーの胡麻嶋理恵さんが手がける「rie gomajima」の螺鈿ピアスとローズクォーツのネックレス。ジュエリーにパワーをもらい、アスリートでも女性らしさを出したいと昨年のナイトゲームズ・イン福井のレースから着けています。このアイテムをつけたときから日本タイ記録、日本新記録と続けて良いタイムで走ることができているので、まさにゲン担ぎアイテム。とても気に入っています。

食事でゲンを担ぐのは難しい?

 着用するアイテムに関しては私なりのゲン担ぎがありますが、一方で食事や直前の行動については、あまりこだわらないようにしています。

 もちろん、レース前に摂らなければいけない栄養素については気をつけていますが、「このメニューを絶対食べる!」というものは特にありません。

 というのも、いつも家から通える範囲内でレースが行われれば、前日に食べるメニューを固定しても問題はないと思うのですが、私の場合は遠征でのレースが多いため、メニューを固定してしまうとそれが食べられなかったときに、「あぁ、〇〇が食べられなかった……」と、心に不安を抱えながらレースに臨まないといけなくなるからです。

 なので、できるだけ不安要素を取り除くためにも、食事でのゲン担ぎはしないようにしています。

 また、レース当日の朝散歩やレース前のルーティンなども特に決めていません。食事と同様、レースの時間がレースごとで違ったり、レース前のコール(選手紹介)やスターター(号砲を鳴らす人)のタイミングが違ったりするので、ルーティンは作らず、そのときの自然体でレースに臨むようにしています。

 ゲン担ぎやルーティンは、大切な場面で不安にならないようにするため、心を落ち着かせるためのものだと思っているので、神だのみとは少し違うと思います。

 その日のために一生懸命準備してきたことを、その瞬間に十分な力で発揮するために、自分なりのゲン担ぎやルーティンがあることは良いことだと思います。みなさんも「ここぞ!」というときにしっかりと力を発揮できるよう、ぜひ自分の“ゲン担ぎ”について考えてみてください!

[プロフィール]
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。会いたい人は、大谷翔平と星野源。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰した。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された「世界陸上」に出場。再び陸上競技選手として、2020年東京オリンピックを目指す。

◎所属企業:株式会社パソナグループ
◎主な記録:100mハードル日本記録保持者(12秒97)/100mハードルU20日本記録保持者(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校歴代2位(13秒39)/100m:11秒63

【今後のスケジュール】
2020年4月29日(水)第54回織田幹雄記念国際陸上競技大会@広島県広島市
2020年5月10日(日)セイコーゴールデングランプリ陸上 2020 東京
2020年6月25日(木)~28日(日)第104回 日本陸上競技選手権大会@大阪府大阪市

※スケジュールは変更になることがあります

【関連URL】
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<Text&Photo(アイテム写真のみ):寺田明日香//Edit&Photo:アート・サプライ>