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自重筋トレの負荷を高める「重り」の効果とは。「重量ベスト(ウエイトベスト)」の使い方をプロが解説

 ランニングや腕立て伏せ、懸垂、スクワットなどのいわゆる自重トレーニングは、筋持久力や心肺スタミナを向上させるおすすめのメニューです。場所を取らずに手軽に行うことができるうえ、長時間の有酸素運動として取り入れやすいでしょう。そのため、ダイエットが目的の人にも向いています。

 しかし、自重トレーニングはバーベルやダンベルを用いるフリーウェイト、あるいはスポーツジムにある専用器具を用いるマシントレーニングのように、重量で負荷を調整することができません。自重トレーニングの長所をそのまま生かし、短所を補う器具の1つが「重量ベスト(ウエイトベスト)」です。

重量ベストのメリット

1.重量が調節可能

 プレートを詰め替えるタイプの重量ベストは、重量を簡単に増やしたり減らしたりできます。そのため、ワークアウトの種類によって重量を調整する、また負荷を段階的に高めることが可能です。

 このタイプでは、重さ約1キロのプレートをポケットに詰め替えて総重量を調整します。写真のものであれば、最大20キロまで可能です。

2.動きを制限しない

 重量ベストのもう1つの利点は、ワークアウトを行う際に両腕両足を自由に動かせることです。シンプルな例でいうと、自重スクワットも、重量ベストを着用して行えば負荷を高めることができます。バーベルやダンベルを担ぐスクワットとは異なり、両腕両足の動作そのものは変わりません。胴体に着用したベストによって、負荷のみを高めます。これは、歩いたり走ったりするような動作でも同様です。

重量ベストを活用したワークアウト“Murph(マーフ)”

 重量ベストを着用して行うワークアウトとして、クロスフィットでもっとも有名なものが“Murph(マーフ)”です。名称は、2005年にアフガニスタンで戦死した米国海軍中尉マイケルマーフィー氏にちなんでつけられました。クロスフィットでは、殉職した警察官、消防士、軍人を弔うためにその名前が冠された「ヒーロー・ワークアウト」と呼ばれるものがいくつもあり、“Murph”はその代表的な1つです。

 毎年5月末のメモリアル・デー(米国の戦没将兵追悼記念日)には、全米のみならず世界中のクロスフィットのジムが一斉に“Murph”を行う伝統があります。そのため、クロスフィット経験者の多くは、一度は“Murph”を行ったことがあるでしょう。さらには、クロスフィットの世界大会である「クロスフィット・ゲームズ」でも行われたこともあるワークアウトです。“Murph”の内容は、以下の通りとなっています。

1600m走+100回懸垂+200回腕立て伏せ+300回スクワット+1600m走

 フィットネスのレベルに応じて、重量ベストを着用するか自重のみで行うかを選択します。見ての通り尋常ではない回数ですが、さらにこれを重量ベスト着用で行います。重量ベストの規定重量は男性が9キロ、女性は6.35キロです。

 多くのヒーロー・ワークアウトは、亡くなった軍人が好んだトレーニングであったり、殉職した人の齢にちなんだ数字(例:43歳で亡くなったから全メニューを43回ずつ)といった理由で、ワークアウトの内容と回数が決められています。どれもこれも長くてキツイことに特徴がありますが、その中でもこの”Murph”は格別です。ちなみにクロスフィット・ゲームズのトップ選手でも”Murph”を終了するには30分、普通の人なら1時間くらいかかります。

 もちろん、誰もが”Murph”ほどの回数をこなす必要はありません。そもそも重量ベストを着用せず行っても、充分以上にきついワークアウトです。ここでは重量ベストを利用したワークアウトの、あくまで1例としてご紹介しました。

 決まった形のワークアウトでなくても構いません。たとえば重量ベストを着用して階段を上るだけでも、かなりのトレーニング効果が得られるでしょう。自重トレーニングをさらに効果的にするため、取り入れてみてはいかがでしょうか。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>

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