2019年3月22日

6年ぶり“陸上選手”としてシーズンインへ。ラグビーと陸上の違いを改めて考えた│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#22 (1/2)

 みなさん、こんにちは! 陸上競技の寺田明日香と申します!

 3月も後半となり、いよいよ春到来! という感じになってきましたね。私も4月からは本格的に陸上競技のシーズンが始まり、約6年ぶりの“陸上選手”としてのシーズンインが近づいてきました。

 今回の記事は、北海道での合宿中に執筆をしているのですが、陸上のシーズンイン直前ということで、ラグビー(昨年10月までは7人制ラグビーの選手でした)と陸上のトレーニング方法の違いや、陸上競技へ移行していく過程で苦労したことなどを書いていきたいと思います。

 最後まで、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

1本の走りに集中する“陸上ペース”にチェンジ

 7人制ラグビーから陸上に再転向することを決め、陸上の練習をし始めたときに最初に感じたことは、競技によって“練習のペース感が全く異なる”ということでした。

 ラグビーは、難しい状況でもいかにボールを前に動かせるか、辛くても全力を常に出し続けるということをいつも頭に置いてやっていました。しかし、陸上は集中の度合いを最大限まで高め、大切な場面でいかに能力を発揮できるかを考えなくてはなりません。ラグビーと陸上では、動き方もマインドセットの方法も違いますし、プレー中(レース中)の集中する度合いも違います。

 しかし、プレー中に“走る”という点では共通していて、ラグビーの練習で“ラントレ(ランニングスキルのトレーニング)”をすることもあります。ただ、ラグビーは走ることが目的ではありません。点を多く取るための手段が“走る”なので、陸上競技の練習のときのように走りに注目した練習はしませんでした。

 また、ラグビーの練習では短い時間の間に次々に練習メニューが変わっていきます。メニューとメニューのほんのわずかな時間に、給水や確認事項の共有、選手間での相談、コーチからの指示などがあります。メニューとメニューの間の移動もジョギングで移動することがほとんどなので、練習中にゆっくり休むという時間はありません。

 一度、練習が始まると、「一気にやる」という感じで進みます。有酸素系の運動がほとんどなので、ものすごい汗が出ます。

 一方で、陸上短距離の練習は、1本1本の走りに集中するため、連続して動いているということはあまりありません。そのなかでも、走る距離や休憩時間を決め、ポイントを考えながら練習をしていきます。ラグビーの練習より休む時間は長いですが、1本の出力が高いため、クラクラしたり(酸欠状態)、一気に乳酸がたまったりすることが多いのです。

 再転向してすぐのころは、1本走って歩いてスタートへと戻るという陸上のペースになかなか慣れませんでした。

“走り方”を全力疾走型にチェンジ

 最近よく聞かれることが、「陸上とラグビーの走り方は違うのか」ということです。私の経験上、やはり競技によって走り方が変わるなと思いました。競技によってプレーの目的が変わるので、その目的を目指した走りになるんだと思います。

 陸上競技の“走り”は1番にゴールをすること、タイムを出すことが目的になるため、いかに効率よくトップスピードを出せるか、スピードの落ち幅を最小限にできるかを考えて走るので、いわゆる全力疾走をします。

 ラグビーの場合は、急に姿勢を低くしたり止まったり左右に切り返すという動作があるので、走るスピードをコントロールする必要があります。100メートル以上を全力疾走する場面は、ほぼありません。高いスピードを出すために徐々に加速するよりも、いかに素早く動けるか(ダッシュができるか)、止まれるかということが求められます。

 競技によって、その競技に効率的な走り方を考える必要があるのだと思いました。

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