2017年4月19日

テニス経験者も楽しい! スペイン発祥の新スポーツ「パデル」を家族で体験してきた

 ラケットスポーツと聞いて、どんな競技をイメージするでしょうか。おそらく、卓球やバドミントン、テニスなどを挙げる方は多いはずです。これらは例えば学校の部活動にもあり、日本においてメジャーなスポーツと言えます。しかし世の中には、まだまだ見知らぬ競技がたくさん! 今回はスペイン発祥のスポーツ「Padel(パデル)」をご紹介しましょう。

パデルって、どんな競技なの?

 スペインで生まれたパデルはラケットを使った競技。一見すると、テニスにとても似ています。ただし、使用するラケットはテニスとまったくの別物。ラケットは形状によって『ダイヤモンド』『円』『しずく』の3種があり、フレームはファイバーグラスやカーボンで覆われています。テニスラケットのようにガットを貼り直す必要がないのは楽チン。さらに、少し小さめの子ども用もあります。

 またシングルスはなく、基本的にプレイはダブルスのみ。コートの広さはテニスコートの約半分です。特徴的なのが、コートの周りを囲むガラスの壁と金網。なんとパデルは壁に跳ね返ったボールを打ったり、あるいは壁に当てて相手コートへボールを返したりすることができるのです。細かなルールは、一般社団法人日本パデル協会のホームページでご覧ください。

 今回はパデルのレッスン体験として、大人3名と子ども2名で『パデル東京』を訪問しました。大人は皆さんテニス経験者。実際のレッスン模様、そしてテニスとの違いやそのおもしろさなどを紹介していきましょう。

どんどん上達!パデルのレッスン体験

 当日のレッスンには木村夫妻(40代)とその娘さん(小学5年生)、私の息子(小学4年生)、そして竹村さん(30代)が参加。皆さん、初めての競技にワクワクしている様子が感じられます。

 まずはラケット選びから始まり、ラケットの握り方などの基本についてコーチから説明。初めて目にするパデルラケットに、皆さん興味津々です。なお、パデルはコートが狭く他プレイヤーとの距離が近いこともあり、ラケットが手から抜けて誰かに当たらないよう、必ずラケットに設けられた紐を手首に巻いて使います。

 レッスンは実践型。いきなりコートに入り、まずはラケットの扱いに慣れるところから始まります。つい強く打ち過ぎてしまったり、思わぬ方向に跳ね返してしまったり。都度コーチがアドバイスしてくれるので、時間とともにどんどん上達していくのが分かります。

 特に盛り上がったのが、こちらの『壁打ち』です。テニス経験者な大人たちも、初めて経験する壁打ちに悪戦苦闘の様子。実際、参加者の方からは、

「壁を利用した打ち方が難しい」
「壁打ちは経験がないので新鮮」

 といった感想がたくさん。しかし難しいからこそ、上手く打てたときのうれしさは大きいのでしょう。順番にローテーションしながら待っている間に「どうすれば打てるか」と頭を悩ませる、皆さんの表情がとても印象的でした。

 基本の打ち方を、どんどん繰り返しながら覚えていくレッスンスタイル。子どもも大人も同じコートに立つレッスンは、なかなか珍しいのではないでしょうか。フォアハンドからバックハンド、サーブ、そして壁に向かって打ち返す『コントラ・パレッド』という独自の打ち方まで。一通りの基本技術についてレクチャーを受けると、レッスンは最終段階へ。早くも2対2に別れた試合形式での実践に移りました。

レッスンのはずが白熱!意外な試合結果にビックリ

 レッスンのラストは、コーチを加えた大人たちによる2対2の試合。約40時間のレッスンで習ったことを、フルに発揮してプレイします。このように、短時間で試合ができるようになる点も、パデルの魅力と言えそうです。

 試合となればテニスしていた頃の血が騒ぐのか、皆さんの表情は真剣そのもの。しかし初めてプレイするとは思えないほど、激しいラリーが続きます。レッスンとは思えないほどの白熱ぶりに、他コートでプレイしていた方々まで見学していました。

 子どもたちも目が釘付け。ボールを目で追いながら「頑張れー!」と声援を送ります。そんな子どもたちに見守られる中、結果は……なんと初心者ペアがコーチチームに勝利!短時間のレッスンでここまでのプレイができるようになるとは、想像以上でした。他のスポーツでは、なかなか起きないことではないでしょうか。

体験レッスンを終えての感想は?

 1時間の体験レッスンは、本当にあっという間!レッスンを終えた感想を皆さんに伺いましたので、最後にご紹介します。

木村さんご家族

「テニスはサーブで決まることが多いですが、パデルはそれがなくラリーが続けやすいですね。例えば、レベルが違い過ぎると試合が成り立たないということがなく、子どもたちとも一緒に楽しめます。難しかったのは、やっぱり壁打ち。テニスにはないプレイスタイルなので新鮮でした。だからこそ、上手くできたときはうれしさも大きいです。ぜひ、また機会があればプレイしたいと思います。近所にコートができたら、通いたいですね」

竹村さん

「パデルは以前から気になっていました。とても爽やかで、テニスより気楽に楽しめるスポーツだと思います。感覚としては、テニスの平行陣をずっとやっているイメージでしょうか。壁を利用するなど、戦略の幅が広そうです。ボールを打ってから戻ってくるまでが早く、決まったと思っても壁打ちで返ってくるなど予想外の展開も楽しかったですね。ルールや基本的な技術はほぼテニスと同じなので、テニス経験者なら始めやすいと思います。もちろん、初心者でも気軽に始められるのではないでしょうか」

 年齢やテニス経験を問わず、誰でも楽しめるパデル。私の息子も、帰宅中に早くも「またやりたい」と言っていました。例えば家族みんなで、一緒にパデルを習うなんていうのも良いかもしれません。ちなみに熟練すると、こんな試合ができるようになるみたいですよ。

 パデル東京ではコート予約や体験レッスンはもちろん、さまざまなイベントも開催されています。ご興味のある方は、ぜひ友人・家族を誘って参加してみてください。思わぬおもしろさに、ハマってしまうかもしれませんよ。

【施設情報】
パデル東京
[住所]東京都練馬区関町南1丁目4-48 善福寺公園テニスクラブ内
[TEL]03−4455−7527
[利用料金※各税込
《コート利用料》
・平日(9〜22時)5,000円/1時間
・土日祝日(9~22時)6,500円/1時間
※4〜9月は18時以降、10〜3月は17時以降、利用時には500円/時のナイター料金が別途
※料金は1面1時間制となり、時間内は何名でもご利用加納
利用方法:公式ホームページより予約(当日でも空きがあれば利用可能)
《レンタル料》
ラケット:400円、シューズ:300円、練習用ボール:無料
《レッスン料》
初めての方向けレッスン(60分):4,000円
体験レッスン(60分):1,000円
※その他、パデルスクールも開校中
[公式HP]http://www.padelasia.jp/
[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】http://www.run-writer.com

<Text&Photo:三河賢文>