2018年8月22日

私をハマスタに連れてって│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#14

 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 今回は、甘糟さんの地元・横浜を盛り上げるベイスターズのゲームを観戦したお話。女性ファンの多さ、スタジアムグルメの充実など大きな変化を感じたハマスタ体験記です。

球場で野球を観戦する醍醐味

 お久しぶりです。カサノバ日記、ちょっとお休みしておりました。家族が癌になりまして手術や看病で忙しく、見るのもするのも、スポーツを楽しむ余裕がありませんでした。やっと落ち着いて、2ヶ月ぶりにジョギングをした時、自分の日常が戻ってきたのだなあとしみじみ感じたものです。引き続き、よろしくお願いいたします。

先日、横浜スタジアムに「横浜DeNAベイスターズ対広島東洋カープ」を観に行ってきました。これがもう、楽しかった! 野球場って、特別な準備なく誰でも楽しめるエンターテインメントだと実感しました。

▲満員の観客で埋め尽くされたハマスタ

 もちろん私はベイスターズ・ファン。横浜生まれですから。ハマスタの周りには子どもの頃の思い出がいっぱいです。最寄駅の伊勢佐木町に降り立つと、ノスタルジックな気持ちになります。

 昨年のベイスターズは、リーグ成績3位からのクライマックスシリーズ進出、からのまさかの逆転劇で日本シリーズ進出、と大いに盛り上がりました。私が住む隣町の鎌倉もすっかり地元感覚で、食事に行ったレストランやら買い物に行った八百屋さんやら、みんな試合の行く末を気にしていて楽しかった。残念ながら、今年は打って変わって低迷していますが、ペナントレースはペナントレース、今日の試合は今日の試合って感じで、球場のベイスターズ応援団は変わらずに賑わっておりましたよ。

 夕暮れ時にプレイボール。1球ごとに、夜に向かって空の色が濃くなっていくのが心地よい。私はドームより野外の球場が好きですねえ。風を感じながらビールを飲む、これが野球観戦の醍醐味! この日は、かわいらしい売り子さんからアサヒスーパードライを注いでもらってまず一杯、その後に「ベイスターズ・ウィートエール」をぐいっといきました。球団が開発したオリジナル・ビールです。

▲暑い夏はビールがおいしい!

 ビールはおいしかったのですが、とにかく暑くて、いくら飲んでも汗となって流れ出てしまったようで、ちっとも酔いませんでした。途中、ショップにてベイスターズTシャツを買って着替えたほどでした。しかし、青いTシャツを着ると、より気持ちが盛り上がります。コールに手拍子、タオル振りで応援しました。やっぱり盛り上がるのは4番バッターの筒香嘉智選手。私も筒香選手のタオルを買って、参加しました。

 選手紹介の時はDJ風のアナウンスがあったり、チアガールのダンスが数回あったり、花火が上がったり、試合以外でも楽しめるようにできています。ショップにはユニフォームやタオルやらさまざまなグッズが揃うし、売店では選手がプロデュースしたメニューがたくさん。筒香選手がプロデュースしたというGO丼を食べました。柚子胡椒の効いた塩豚の丼。それから、器がヘルメットになっているナチョスも。ヘルメットはそのままお土産になるので、小物入れに使っています。

▲筒香選手がプロデュースした「Go丼2018~今年は塩豚丼~」

 なるほど、女性ファンが増えたのも頷けます。この日も、ユニフォームを着た婦人&女子をたくさん見かけました。

 私が子どもの頃の野球場って、呑んだくれたおじさんが「夜のバット〜」的な下品な野次を飛ばす、みたいなイメージがありましたが、今のハマスタにはそんな空気は微塵もありませんでした。まあ、あれはあれで味があって私は好きですけれども。

 それにしても、球場で聞く打球の音はいいですね。あれは今も昔も変わらないと思います。臨場感のある「カッキーン」という音はテレビでは味わえない。ああ、またあれを聞きにハマスタに行きたいなあ。今年は、クライマックスシリーズも日本シリーズもなさそうなので、ペナントレースの日程を確認しなくちゃ。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。

<Text & Photo:甘糟りり子>