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2023年6月20日

なぜ筋肉痛は2〜3日後に遅れてくる?筋トレや運動はしていい?専門家に聞いた予防&対策方法

ランニングや筋トレなどのスポーツを楽しむみなさま。はたまた運動といえば、子どもと遊ぶときや運動会などのイベントぐらいかなぁ、という方々。筆者はどちらかといえば後者ですが、継続的にスポーツをする人もそうでない人も、どちらももれなく「筋肉痛」は経験していることでしょう。

運動をした翌日や、人によっては翌々日など、少し時間をおいてからやってくる筋肉の痛み。痛みは自然と治まってはくるものの、その間はやっぱりツライ。そんな誰もが経験し、あらためて深く考えたことがないであろう「筋肉痛」にフォーカスします。

日本体育協会公認アスレチックトレーナー、柔道整復師の資格を持ち、日本体育大学大学院体育科学研究科博士後期課程で健康科学・スポーツ医科学を研究する鴻﨑香里奈さんに、筋肉痛の原因や症状、時間差で症状が出る理由、そして痛みをやわらげる対策方法などを聞いてみました。

健康科学・スポーツ医科学を研究する鴻﨑香里奈さん

筋肉痛っていったい何? どうして起こるの?

程度は人それぞれではあるものの、激しい運動をしたり、普段しない運動をしたりすると老若男女・年齢に関わらずなってしまう筋肉痛。そもそも筋肉痛って何なのでしょうか。

「いわゆる筋肉痛として一般的に認識されているものとしては、筋肉の線維が損傷して、筋肉自体が壊れて痛みが出るというふうに言われています。筋肉を作っている1本1本の線維があって、交通事故みたいなことに遭うのでなければ筋肉が一気に壊れるということはないですが、筋肉痛の起こりやすい運動をすると部分的に筋線維の何本かが壊れてしまうということが起こるんですね」(鴻﨑さん)

筋肉が壊れるなんて、筋肉って意外とデリケート。筋肉が壊れて痛むということは、ケガの痛みと同じということ?

「それが、筋肉が壊れていることで痛みが出ているのかっていうことは、実は分かっていないんです。痛みについてはもしかしたら筋肉に信号を送っている神経が関係するのではと言われていて、筋肉や神経の損傷に関連する物質などが痛みを引き起こしているのではないかと。なので筋肉痛の原因としては、筋肉の損傷+筋肉を支配している神経系の関与があるのではと言われていますね」(鴻﨑さん)

筋肉の損傷は目で見ることはできないけど、痛みのメカニズムとしてはケガ、いわゆる外傷と同じ原理のようです。でも、指に針を刺したときのようにすぐに「イタッ!」とならずに、時間が経ってから痛み出す。

筋肉痛にタイムラグがあるのはなぜ?

「筋肉痛が出るのはだいたい1日後ぐらいからで2〜3日後にピークになりますが、筋肉痛が直後ではなく、1日目以降ぐらいに出る理由はこれもまだ分かっていないんです。ひとつの可能性として筋肉痛発生までにタイムラグがあるのは、筋肉じゃなくて神経がそのもとになっているから遅く出るのではないかと私たちは推測しています」(鴻﨑さん)

つまり、筋肉の損傷そのものが痛むのではなく、たとえば損傷によって発生した炎症物質などが神経を刺激して痛みとして伝わるまでに時間がかかるということらしい。ヒトのカラダに起こることを解明することにも時間がかかるのですね。

ちなみに、歳をとると筋肉痛が遅く出るとよく言われますが、これについては年齢による時間差はないとする研究報告もあるそうです。

関連記事:筋肉痛が遅れてくる理由とは。「年齢は関係ない」ってホント?トレーナーが解説

では、筋肉痛になりやすい運動や種目はある?

筋肉痛になりやすい運動種目

「筋肉痛になりやすい運動では『伸張性収縮』という、階段を下りたり、腕のトレーニングなどで重たいダンベルを持ってゆっくり持ち上げたり下ろしたりする運動などがあります。これらの動作は、筋肉が引き伸ばされながら力を出すことで筋線維に大きな負荷がかかります。スポーツの種目に当てはめるのは難しいですが、たとえばダッシュすることやバーベルを下ろす、下り坂のランニング走行のようなブレーキング動作も『伸張性収縮』です」(鴻﨑さん)

重いものを持ち上げているとき、二の腕の上腕二頭筋は腕を曲げる方向に持っていくので筋肉がギューって縮んでいるにもかかわらず、荷物の重さで縮みつつも下に引き伸ばされる力(負荷)がかかる。この負荷が筋肉の損傷を誘発し筋肉痛を引き起こす。

縮もうとする筋肉に逆らってムリヤリ引き伸ばすなんて、そりゃ壊れますわ。

筋肉痛になったらどうすればいい? トレーニングを続けてもOK? 

それでは、筋肉痛になってしまったときの対処法はあるのでしょうか。セルフケアの方法は?

「対処法としては、マッサージはある程度の効果があるようです。筋肉痛を起こす伸張性収縮の運動をいくつか行なわせて、そのすぐあとにマッサージをして経過観察した実験では、何もしていないときより痛みが抑制されたというデータが出ていましたので。やり方としては、手のひらと指を使って筋肉痛を起こした部位を揉んであげます。時間は1部位あたりだいたい1分ぐらい。あとは指で押すのを1分間続けるのも効果があります。また、腿の裏とかマッサージしずらいところはストレッチポールの上でコロコロするだけでもある程度効果があるという研究報告もあります。テニスボールやペットボトルでもOKです」(鴻﨑さん)

筋肉痛で病院に行く人はほぼいないと思いますが、医療機関での受診が必要な筋肉痛ってあるのでしょうか。

「医療機関の受診については、筋肉痛の経過としては1週間あれば治ります。2〜3日後(個人差はあります)が一番痛くなって、4日後ぐらいから一気に痛みが取れはじめ、7日後ぐらいには痛みが消えます。なので1週間過ぎても痛みが持続する、あるいは日常生活に支障をきたすようなら受診するほうがいいと思います。筋肉痛ではなく、肉離れなどのケガの状態となっている場合もありますから。あとはトレーニングした部位がすごく固く張りすぎているときも受診したほうがいいですね」(鴻﨑さん)

また、筋肉痛が出ているときにトレーニングを継続してもよいかという問いに対しては、イエスとのこと。ただし、迎え酒ならぬ迎えトレーニングと勘違いして、やればやるほどよくなる、筋肉が強くなるというものではないとも。やっぱりやり過ぎは大きな損傷につながり、オーバーワークとなってケガなどのダメージとなるので、ほどほどに。

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「筋肉を構成する線維にもいくつかの種類があり、同じ伸張性収縮を繰り返すことで筋肉の構成が変化する、あるいは筋肉を包む薄い膜である結合組織が頑丈になるなどの変化によって痛みが出にくくなるということも言われています。しかし、トレーニングを続けるにしても1日やったら1日休むというように休息を入れてあげることが大切です。また、あまり筋肉が伸びすぎないようにする、回数を重ねないで少しゆるく運動するなど、うまく調整すれば筋肉痛が出た状態でも運動しても大丈夫だと思います」

筋肉痛の予防と対策方法

できることなら、筋肉痛にはなりたくないですよね。筋肉痛を予防することはできるのでしょうか。

「普段運動しないけど、この週末にテニスをするなどといった場合に、運動する2日前から筋肉痛になりそうな部位を事前にマッサージしておいて、運動後の3日間も続けてマッサージをする。マッサージをしている期間としては5日間です。マッサージとマッサージの間に伸張性収縮を挟むと痛みの推移が何もしていないよりもあまり上がらなかったっていう報告もありました。ですから事前にやっておくというのも手ですね」(鴻﨑さん)

あとはやはり日頃から運動習慣をつけ、筋肉を鍛えて筋線維を丈夫にしておくことが予防につながるとも。分かっていてもなかなかできない運動習慣。

あまり運動をしないという人は、エスカレーターを使わず階段を登る、できるだけ歩くようにするなど、筋肉を鍛えるためにも小さなことから始めてみませんか?

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《参考文献》
1.Urakawa et al. 2014 Manual therapy ameliorates delayed-onset muscle soreness and alters muscle metabolites in rats. Physiol Rep 22; 3(2)
2.Pearcey GE et al. 2015 Form rolling for delayed-onset muscle soreness and recovery of dynamic performance measures. J Athl Train 50(1): 5-13
3.Han et al. 2014 Effects of therapeutic massage on gait and pain after delayed onset muscle soreness. J Exerc Rehabil 10(2): 136-140
4.Zainuddin et al. 2005 Effects of massage on delayed-onset muscle soreness, swelling and recovery of muscle function. J Athl Train 40(3): 174-180

【監修者プロフィール】
鴻﨑香里奈(こうざき・かりな)
2012年、了徳寺大学卒業。2014年、日本体育大学大学院 博士前期過程 終了(体育科学修士)。2015年より日本体育大学大学院 博士後期課程に在学中。専門分野は、運動生理学、スポーツ医学。柔道整復師免許、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)、中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)の資格を持つ

<Text & Photo:京澤洋子(アート・サプライ)>