インタビュー
2019年7月17日

筋トレやランニングのお供に。1本にたんぱく質7.3g、スポーツ向けちくわ 「スポちく」が開発された理由とは

 日本最大級のスポーツ・健康産業総合展示会「SPORTEC(スポルテック)2019」(7月9〜11日/東京ビッグサイト)で、来場者の注目を集めていたのが一正蒲鉾の「スポちく」。その開発背景などを取材しました。

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「ちくわ」をスポーツシーンで

 一正蒲鉾の「スポちく」。その名の通り、スポーツ×ちくわの商品です。1965年に新潟で創業した老舗が、スポーツ産業に初参入となります。

▲一正蒲鉾の「スポちく」は、1本に7.3gの高たんぱく質が特徴。『BCAA入り』と『ビタミンB1入り』の2種類があります(味は一緒です)

 「運動前後のカラダに栄養補給」をキーワードに、高たんぱく質、低脂肪、DHA・EPA入り、BCAA入りをうたいます。ちなみにBCAAとは、必須アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の総称のこと。1本約45gで、価格は税抜158円。そもそも、どんな経緯で開発されたのでしょうか。

▲ブースには、試食希望の来場者がひっきりなしに訪れていました

 商品開発部の石川義成氏に話を聞きました。「魚肉たんぱく質の多い良質な蒲鉾を世に出してきた弊社では、新しい顧客を開拓するために開発会議を重ねてきました。スポーツジムで、ちくわを食べている人たちがいるらしい、という話にヒントを得て1年以上前から開発してきたのがスポちくです」と石川氏。

▲たんぱく質7.3g、脂肪1g、エネルギー59kcal、DHA・EPAは248mgを含んでいます(1本中)

 市場にある魚肉製品は甘いものが多く、パサパサしており、飽きがくるという声があることも調査済み。「一正蒲鉾のちくわで作れば全部クリアできる。低脂肪のまま、ほかの栄養素も混ぜることができる」(石川氏)との判断から、商品化を本格スタートさせました。しかし、話はトントン拍子にはいきません。

▲社内のデザイナーが「これでいきたい」とプレゼンを通したイラスト。リレーのバトンがちくわになっていたり、卓球選手の指にちくわがハマっていたりします

 今年の3月頭に発売したものの、尖った製品のため、卸せたスーパーはまだ一部だけ。ゆくゆくはジムにも卸したいものの、常温保存できない(チルド商品となる)ために、まだ導入までこぎつけていないそうです。「消費期限を伸ばすなどの工夫も必要だと感じています」と石川氏。

 筆者も実際にいただきました。なるほど喉越しが良く、飲み物がなくても食べられます。味は、懐かしいちくわの味。歯に挟まるようなこともなく、においもしないので「これから試合」というときなど、集中力を邪魔しません。もちろん、スポーツ後のほてった身体にも冷やしたちくわは相性が良さそう。学生なら部活動の後に。また夜間に小腹が空いたときなど、お菓子を食べるよりも健康的に栄養を補給できそうです。

 石川氏は「来場者にもコスパが良い、高たんぱく質なことに驚いた、思ったより美味しい、といった声をいただけています。これから通販サイトでも販売していきます。50年以上、蒲鉾、はんぺん、ちくわ、さつま揚げなどをつくってきた一正蒲鉾です。経営層には『本当にこれ大丈夫なのか』と言われましたが、今回のようなイベントをきっかけに、これまでの弊社のルートでは届けられなかったお客様にリーチできれば幸いです」と話していました。

<Text & Photo:近藤謙太郎>