
糖質制限ダイエットはなぜ痩せる?脂肪が減る理由とメリット&デメリット、食べてもいいもの&控えるべき食べ物
- 健康
- 2019年11月25日
ダイエットの定番になりつつある「糖質制限(低糖質)」を心がけた食事方法。減量効果が高いとされる一方で、長期的に続けられない、健康に悪い、危ない、リバウンドしやすいといった噂を耳にすることがあります。
糖質オフには興味があるけれど、やり方が分からない、あるいはご飯や麺類を我慢できるか分からないから不安といった人は多いでしょう。今回は初心者に向けて、糖質を減らすと痩せるメカニズムや、食べていいもの・食べてはいけないもの、健康への危険性などを、トレーナーが解説します。
糖質制限とは
糖質制限とは、食事の糖質を極力カットする食事法のこと。この糖質とは、人間の生命維持や身体活動などに欠かせないエネルギー源となっている、3大栄養素「たんぱく質・炭水化物・脂質」のうちのひとつ、「炭水化物」の一部です。
炭水化物は、消化吸収できる“糖質”と、消化吸収できない“食物繊維”に分かれます。糖質制限は糖尿病の治療としても行われる食事法ですが、減量効果が高いことからダイエットにも活用されるようになりました。
糖質制限をするとなぜ体重が落ちる?
糖質をカットするとなぜ体重が落ちるのでしょうか。その仕組みを解説します。
血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの分泌を抑える
糖質は、たんぱく質や脂質に比べ、摂取した際の血糖値の上昇が急激であるという点が特徴です。血糖値が急に上がると、それを抑えるためにホルモンの1つである「インスリン」が多く分泌されることになります。
インスリンには、血液中に存在している糖分を脂肪細胞に取り込むよう促す働きがあります。インスリンが多く分泌されるということは、血液中の余った糖分を脂肪に引き込み、体脂肪が蓄積されることに繋がってしまうのです。糖質を制限することで血糖値の急激な上昇を抑え、インスリンの分泌を抑えることができます。
エネルギー源として中性脂肪の利用が増える
カラダを動かすエネルギーである糖質の摂取量が少なくなると、体内ではエネルギー不足を補うため、蓄積されている中性脂肪や体脂肪を分解してエネルギー源を作り出します。
中性脂肪を分解するとき、肝臓では「ケトン体」と呼ばれるエネルギー源を生成します。このケトン体が糖の代わりとなり、カラダを動かすエネルギー源となるのです。つまり「糖質が不足しているから、脂肪を分解してエネルギー源となるケトン体をどんどん生み出そう!」という、本来備わっているカラダの仕組みが働くために体脂肪が減少していきます。
糖質制限で食べてもいい食品・控えたほうがいい食品
ここでは代表的な食品について、糖質制限ダイエット中に食べてもいいかどうか、解説します。
◆米・麺類・パン → 控えたほうがいい
主食であるこれらの食品は糖質です。糖質制限ダイエット中はできるだけカットするようにしましょう。糖質制限ブームによって、糖質が少ないパンやパスタ、スイーツなどの便利な商品が販売されています。うまく活用しながら糖質制限を進めてください。
◆肉類・魚介類 → 食べてもいい
肉類や魚介類は、たんぱく質・良質な脂質としてしっかり摂取しておきたい食品です。基本的にはどの種類の肉や魚でも食べて問題ありません。ただし肉や魚が原料であるハム、ウインナー、ちくわやはんぺんなどの加工品には、糖質が多く含まれているものがあります。食べる前に、糖質量をしっかりチェックしておくようにしましょう。
◆卵・乳製品 → 食べてもいい
卵や乳製品は、たんぱく質が豊富に含まれている食品です。チーズやヨーグルトなどはちょっとしたおやつに最適。ただし食べるときは、砂糖などを加えて甘くしないように注意しましょう。
◆野菜 → ものによっては控える
野菜は健康によさそうなイメージですが、野菜の中には糖質が多く含まれているものもあるので注意が必要です。イモ類やニンジン、カボチャ、トウモロコシ、レンコンなどには糖質が多く含まれており、"糖質制限中は"控えた方がよい食品といえます。糖質が少ないのは、葉物など緑色の野菜やキノコ類です。ビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれているので、積極的に食べましょう。
◆お酒 → 賢く選べば飲んでもOK
ビールや日本酒などの醸造酒、カクテル、梅酒などは糖質が多いため控えた方がよいでしょう。ただし焼酎やウイスキーなどの蒸留酒(ハイボールも含む)、ブランデー、ワインなどは糖質が少ないので飲んでも大丈夫です。
◆お菓子・スイーツ・果物 → 控えたほうがいい
砂糖をたっぷり使っている甘いお菓子だけでなく、おせんべいなどの米菓類もNGです。果物は健康によいのですが、果糖という糖質が含まれているため、糖質制限中の場合は少し控えた方がよいでしょう。
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糖質制限のメリット
◆筋肉の減少を抑えやすい
食事を制限して体重を落とす場合、もっとも気をつけなくてはいけないのが、摂取エネルギーの減少によって起こる筋肉の分解・減少です。極端な食事制限をすると大幅に体重は減りますが、その多くは脂肪ではなく筋肉が減っていることが多いのです。
糖質制限ダイエットでは摂取カロリーをしっかり確保しつつ、筋肉の元となるたんぱく質を多く摂取するため、筋肉量の減少を抑えることができます。
◆空腹を我慢しなくていい
糖質制限ダイエット中は摂取カロリーを制限しないため、しっかり食事を摂ることができます。たんぱく質や脂質は消化にかかる時間が長く腹持ちもいいため、ダイエットにありがちな空腹感をほとんど感じずにダイエットを進めることができるでしょう。
糖質制限のデメリット
◆つい食事量を減らしてしまいがちに
糖質制限中は急激に体重が落ちることによってモチベーションが高まり、糖質だけでなく食事量全体を減らしてしまう人も少なくありません。しかし、それは健康を害してしまいます。糖質制限中は、しっかり食べることが重要だということを頭に入れておきましょう。
◆糖質量が少なくなることで、体調不良や便秘になることも
今まで不足なく体内にあった糖質がほとんどなくなることで、カラダが環境の変化を感じ、体調に影響をもたらす場合があります。特に糖質制限ダイエットを始めたばかりの時期は、頭痛や吐き気、めまい、不安感、倦怠感や無気力感、眠気などの症状が出る場合があるでしょう。また、炭水化物を制限してしまうことで食物繊維が不足し、便秘になってしまう人もいます。糖質の少ない野菜や海藻類などを積極的に摂取し、食物繊維を補給しましょう。
糖質制限に慣れてくれば体調も安定してきます。初期の体調不良がつらい場合は制限を緩くし、少しずつ糖質量を減らしていくようにするとよいでしょう。
糖質制限と運動を組み合わせて、リバウンド防止を
糖質制限はカラダを変えることができるダイエット法です。しかしどんなダイエットも、体重を減らした後も継続していかなければリバウンドします。それは糖質制限も同じです。運動をうまく取り入れながら糖質を減らすよう意識し、苦痛を感じることのない糖質制限を行いましょう。
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また、完全に糖質を抜くといったバランスにかける食事方法も、一時期は効果が出るかもしれませんが、一生続けることは難しいでしょう。継続できるダイエットを目標にPFCバランスを整えた食生活を送り、運動習慣をつける必要があります。
[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>