インタビュー
2017年7月28日

会社員を続けながらボクシング日本王者に。仕事とトレーニング・ダイエットの両立術とは? (1/2)

 「今度こそは絶対に痩せる!」。ダイエットを初めた当初はそう思っていても、なかなか最初の意気込み通りに継続するのは難しいものですよね。そんな時はどうしても日頃の忙しさを理由にしてしまいがちです。「仕事が忙しくてジムに行く時間がない」、「ダイエットに時間を割けない」という方も多いのではないでしょうか。

 そこで今回は、大手企業のサラリーマンとして多忙な毎日を送りながらボクシングを続け、日本ミニマム級王者にまで登り詰めた花形ジム所属のプロボクサー・大平剛(おおだいら・ごう)選手に「仕事をしながら無理なくできる身体の絞り方」についてお話を伺いました。

週5日勤務を続けながら日本王者に

――大平選手は法政大学在学中にプロデビューして、その後大手企業に就職した後もサラリーマンをしながらボクシングを続けていたんですよね。

はい。新卒で化粧品メーカーに就職して、営業の仕事をしながらボクシングをする生活をしばらく続けていました。

――新入社員のうちはただでさえ帰りが遅くなることもあったでしょうし、両立するのは大変だったのではないですか?

そうですね。初めのうちは自分の裁量で仕事を回すことができないのでなかなかジムに行けませんでしたね。会社が家から近かったので朝はゆっくりだったのですが、帰りは遅くなることが多かったので。仕事が早く終わってジムに行けた時はその一回の練習を特に大事にするようにしていました。ジムに行けない日でも自宅で筋トレをするなど、時間が少ない中でも、その時やれる限りのことを継続するように意識していました。

――その後、よりボクシングに集中する環境を手に入れるために現在の職場に転職をされたと伺いましたが、それでも週5日間勤務という点は1社目と変わっていないそうですね。

はい。今はスポーツメーカーのショップの社員として販売の仕事をしています。朝から18時まで勤務して、その後ジムに移動してトレーニングを行う生活ですね。

――日中は会社員としてフルタイムで働きながら日本チャンピオンにまで登り詰めたんですね。フルタイムで仕事をしながらそこまで行くのは並大抵のことではないのではないでしょうか。

確かに普段はフルタイムで働いていますが、タイトルマッチの前などはまとまった休みをいただけたり、会社の上司や仲間にもいろいろと協力していただいています。なので「自分1人で仕事とボクシングを両立してチャンピオンになったぞ」という感覚は無いんですよね。職場やジムの方をはじめ、本当に多くの人たちに支えられて何とかここまで続けれてこられたかなと思っています。

減量はしっかり動いてしっかり食べるのが基本

――試合が決まったらすぐに減量に入ると思いますが、どのようにして身体を絞っていくのですか?

ジムでの練習の強度を上げて追い込んでいく形になりますね。ジム以外でももちろん、ランニングや筋トレなどを行います。食事メニューもカロリーを抑えたものに変えます。

――具体的にはどのように変えるのですか?

基本的には野菜中心にして、炭水化物を少し減らしますね。米を玄米にするなどしてカロリーを抑えられるよう工夫しています。玄米は毎回炊くのも大変ですし、カロリー計算がしやすいこともあってパックになっているものを食べています。

――やはり野菜を摂るのが大事なんですね。

野菜中心にすることでビタミンを多く摂取して、試合に向けて身体の調子を整える狙いもあります。食物繊維なのでお腹にもたまりますしね。あと僕は納豆をよく食べます。カロリーも低いですし、練習後の身体の修復に欠かせないたんぱく質も摂れるので重宝しますね。あと、減量中は焼き鳥の塩をよく食べますよ。

――焼き鳥ですか。減量中に食べる物としては少し意外な感じがします。

脂質の摂取量は減らさないといけないので、モモやムネ、内臓系ならハツのような脂肪分の少ない部位が中心ですね。納豆同様、練習後に必要なたんぱく質が豊富なので、けっこうな量を食べるときもありますよ。

――減量中はあまり食べられないというイメージが一般的な気もしますが、しっかり食べるんですね。

そうですね。ただ体重を落とせば良いのではなくて、試合に向けて動ける身体を作っていかないといけないので、むしろしっかり食べないといけないんです。食べる量を減らすと練習もキツく感じてしまいますし、そうするとたいしたトレーニング量をこなしていなくてもやった気になってしまうんですよ。しっかり食べて、その分しっかり動きながら絞っていくことが大事だと思います。

少しずつ無理なく生活習慣を変えていけば、自ずと身体は引き締まってくる

――一般的に減量というと我慢が付き物というイメージがあると思うのですが、しっかり食べながらの減量というのは一般の方のダイエットにも良さそうですね。

そうですね。僕自身、「めちゃくちゃキツい練習をして、その上、食事量をいつもの半分に減らせ!」って言われたら多分すごく辛いと思いますけど、実際にはお腹いっぱい食べているので。ただ、脂質の摂取量を減らせるように少し意識したり、いくつかのメニューを普段の食事と変えることでカロリーを抑えていく。これは一般の方のダイエットでも使えるかもしれないですね。

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