フィットネス
2020年9月2日

角材の上を歩いて体幹を鍛える「バランスビームトレーニング」とは

 バランスビームとは、体操競技で使う平均台を低くしたものです。幅10センチほどの台の上を歩くワークアウトでバランス感覚を養い、体幹の安定性を鍛えることができます。

 バランスビームは専用器具も市販されていますが、このような角材でも代用可能です。幅は10センチほど、長さは3メートル程度あれば充分です。

 もともとは体操競技を学ぶ子ども用の練習器具ですが、大人が行っても充分に効果のあるワークアウトが可能です。私が指導するクロスフィットジムでは、大人も子どももそれぞれバランスビームを用いたプログラムを組んでいます。特に、ウォーミングアップに組み込むことが多いです。

台の上を歩いてバランス感覚を養う

 まず基本となるのが、台から落ちずに歩くことです。簡単そうに見えますが、意外に大人はここでつまずく人が少なくありません。かえって、子どもの方がスイスイ歩くことも。歩幅を小さくして、前足の踵を後ろ足の先につけるくらいが丁度よいでしょう。

 視線は下に落とさず、まっすぐ前方を見つめてください。両腕を横に広げるとバランスが取りやすくなります。

 平均台の上で華麗に舞う体操選手も、最初に取り組むのはこういった台の上を歩くことから。踏み外しても危険はありませんので、リラックスして歩いてみて下さい。

 端から端まで落ちずに歩けるようになったら、工夫を加えて難易度を上げていきます。あまり深刻にならず、あくまでもリラックスした状態で行ってください。遊び感覚で取り組むぐらいの気分の方が、体から余分な力が抜けて上達も早いようです。

☑ 目を閉じて歩く
☑ 後ろ向きに歩く
☑ 横向きに歩く
☑ 交互に片足を前後に振り上げて歩く
☑ 片足立ちになりケンケンをして歩く

ダンベルを加えて体幹を強化する

 こちらは大人向きです。バランスビームを歩く際、ダンベルやケトルベルなどを用いることで、体幹の安定性を鍛えられます。バランスを崩すとすぐに台から落ちそうになるため、体をまっすぐに保とうとするでしょう。これにより、自然と体幹に力が入ります。

 両手にダンベルをぶら下げて歩く。これは、見た目よりはるかに難しいワークアウトです。片手にダンベルを持ち、頭上に持ち上げて歩きます。このとき、ダンベルを持った腕をまっすぐ頭上に伸ばすのがコツ。もう一方の腕は、斜め前に伸ばしてバランスを取ります。

 なお、ダンベルを持つ腕は左右交互で行ってください。多くの人は、どちらか片方を苦手と感じることでしょう。このワークアウトには、そのような筋肉のアンバランスを正す効果も期待できます。

子どもとのコミュニケーションにもおすすめ

 バランスビームはケガの危険が少なく、体への負担もほとんどありません。大人も子どもも一緒に楽しむことができるトレーニング器具です。神経系が発達中の子どもにはとても有効ですし、大人も加齢によって失いつつあるバランス感覚を取り戻すことができるでしょう。

 角材でも代用ができますので、ぜひ一度お試しください。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>