2019年6月28日

日本で唯一のチーランニング公式インストラクターに聞く“走力レベルアップ”のポイント (1/3)

 重力を味方につけ、脚を使わず走るというチーランニング。「怪我を防ぎ、走力を高める。“重力を味方につける”走り方「チーランニング」とは」で、そのメソッドについて概要を紹介しました。このチーランニング、アメリカではスポーツジムなどに書籍が置かれるほど知られているものの、日本ではまだメジャーとは言えません。そこで今回は、日本で唯一の公式インストラクターである中島貴裕さんにお話を伺いました。 

 中島さんは東京都内を中心に、定期的にワークショップも開催されているとのこと。どのようにしてチーランニングを知り、何に惹かれたのか。そして中島さんの考える走力アップのポイントなどをご紹介しましょう。 

チーランニングとの出会いで一気に記録更新

 初めて中島さんがマラソンを走ったのは、2006年に開催された『長野マラソン』。当時、職場の仲間と参加したものの、いきなり厳しい洗礼を受けたようです。 

「もともと登山やスキーで靭帯や半月板などの故障歴があり、走るのに向いた身体とは言えませんでした。しかし当時、マラソンは気合いと根性でなんとかなる……と思っていたんです。しかし現実は違いましたね。なんとか歩きながら完走こそ果たしたものの、その後の食事を全て戻してしまうほどのダメージ。正直、そのときは、自分にマラソンは無理なのではないかと感じました」 

 その後、周囲は練習するごとに速くなっていく中で、中島さん自身は時に練習すらできなくなる状態。そんな中、視点を切り替えてチャレンジしたのがトライアスロンだったと言います。

「トライアスロンはランニングだけでなく、水泳と自転車を合わせた3種目で競いますよね。それなら、なんとか勝負できるのではないかと思ったんです。そこで、まず力を入れたのが水泳。でも継続してトレーニングしている人には敵わないもので、プールで子どもに追い抜かれるんですよ。これが悔しくて『何かないか!?』と調べたところ、出会ったのがTOTAL IMMERSION SWIMMING(TIスイム)でした。インターネットで動画を観て、実際に習いに行ったのですが、とにかくすごいの一言。感動して、私自身がコーチにまでなってしまったんですよ。しかしそこで、思いもよらない出会いがありました。TIスイムのコーチから、『ランニングにはチーランニングっていうものがある』と教えてもらったんです」

 脚を使わずに走るチーランニングなら、自分でも走れるのではないか。そう感じた中島さんは、すぐに国内で1冊だけ出版されていた監訳本を読んだそうです。しかし理屈を知ったところで、そのメソッドを本当に理解することはできない。そこでアメリカからDVDを取り寄せて動画で学び、少しずつチーランニングを理解していきました。

「自分なりに本とDVDから理解を深め、チーランニングを実践していったんです。そしたら驚くことに、走っても痛みなど出なくなったんですよ。とても感動的でしたね。やがてチーランニングの素晴らしさは確信に代わり、ちゃんと先生から習いたいという思いが生まれました」

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