2017年8月29日

【初心者が絶対に覚えておきたいルールとマナー #5】ゴルフのルールが難しく感じるのはなぜか!?

 これからゴルフを始めたいと思っている人、ゴルフを始めたばかりの人。そしてベテランだけどルールはイマイチ。そんな方々にお届けするのが、堅苦しさ一切なしの「ルールとマナー」シリーズ。読んで納得、腹落ち必至の解説でお届けします。5回目は、「ゴルフのルールはなぜ難しく感じるか」です。


なぜゴルフのルールは複雑なのか!?

 「ゴルフをやってみようかな?」と思う人にゴルフの話をすると、まず「???」となるのがルールについて説明したときはないでしょうか? そもそもルールがなぜ必要で、そういう考えからでき上がったかということをこの連載でも、まず説明しました。

 ゴルフのプレー、目的はボールを打って、カップに入れるまでの、打数を競うことです。非常にシンプル、そしてルールは、プレーをスムースに進行させることが大前提で、基本的には13条のルールがベースで、わざわざ複雑にしようと思っているわけではありません。

 ではどうしてゴルフのルールは複雑に感じてしまうのでしょう。まずゲームをするフィールドが圧倒的に広いことでしょう。テニスコートよりはるかに広い野球場でも、東京ドームは46,755平方メートルだそうです。ゴルフコースはさらに広く、ざっくりと東京ドーム20個分といわれています。


ゴルフのルールはプレーするエリアごとに違う

 単純に広いだけではありません。ルールが複雑になるのは、プレーする場所によって、ルールが変わることです。「プレーする場所が違うって何?」と思う方がいらっしゃると思います。ゴルフ場であることは変わりありませんが、ゴルファーがプレーする場所は、大きく3つに分類されます。

●第一打を打つ、ティインググラウンド(ティグラウンド)というエリア
●芝が短く刈り込まれ、ホールカップという穴が開いているグリーンと呼ばれるエリア
●ティグラウンドでもなく、グリーンでもないスルー・ザ・グリーンというエリア

 そして、この3つの場所で、それぞれルールが変わってきます。


ティーインググラウンドでの注意点

 ゴルフの大原則として「あるがままのボールを打つ」というのがありますが、第一打だけは、ティーインググラウンド上にある、ティマークの間から、自分が持っている1番長いクラブ2本分(2クラブレングス)後方のエリア内であれば、ボールを地面ではなく、ティを使うことで浮かせて打つことができます。

 このエリアにボールがあれば、スタンスはこのエリアから出ていてもかまいません。ティに浮かせる(ティアップ)して打つのは、テニスのサーブと同じようなイメージでしょうか。テニスのサーブも決められたエリア内であれば、場所を選んで打つことができます。テニスは足がエリア内、ゴルフはボールがあることが前提で、このエリアの外から打ってしまうとペナルティの対象となります。


スルー・ザ・グリーンでの注意点

 コース上にあるティーインググラウンドからグリーンの間までの範囲をスルー・ザ・グリーンといいます。ここが2打目以降の地点となります。芝が短く刈ってあるフェアウエイと、長く伸ばしてあるラフ、この2つはルール的に区別がありませんが、ハザードと呼ばれる、池や川、バンカーなどの障害があるエリアでは、ルールがまた違います。すべてのエリアで、ボールに手を触れたり、故意に動かしたりすることはできません。


 人のボールがもし自分のボールに当たってしまったら、当てた人のボールはそのままですが、自分のボールは元あったところに戻してからプレーすることになります。もし動物がボールを持っていったら、元あった場所と思われる地点に戻してプレーを続けることもできます。しかし、動いているボールを持っていった場合は、あるがままのプレーとなりますので要注意です

 スルー・ザ・グリーンには、ハザードと呼ばれるエリアがあります。この場合も、ルールが異なりますので注意が必要です。池、バンカー、川では、スイングする時以外、クラブを芝や地面、水面など触れることが許されません。そしてこのエリアでは、小枝や石などの障害物があっても取り除けません。どちらもペナルティの対象となります。

 同じハザード内でも、池や川などでは、ボールを打つことが困難な場合がほとんどで、一打加えることで救済措置を受けることができます。バンカーはボールを打つことができることがほとんどですから、罰を払ってもバンカー外に出すことはできません。


グリーン上での注意点

 他のエリアでは、ボールに触れるとペナルティが課せられますが、グリーン上だけは、ボールの後ろにマークを置くことで、一時的にボールを拾い上げることができます。その際にボールを綺麗にするために拭いたり、もとに戻す際にボールに引いてある線を目標に揃えたりすることができます。


 他のエリアでは、同伴競技者のボールに、自分の打ったボールが当たってしまった場合も無罰ですが、お互いのボールがグリーン上にある場合は、ボールをぶつけたプレーヤーに罰打がつきます。カップの位置を示すピンフラッグに当てると同じく罰打がつきます。

 グリーン以外のエリアから打ったボール、例えばグリーンの少し外のカラーから、パターを使って、グリーン上の同伴競技者のボールに当たってしまうのは、罰打は付きません。使用クラブは関係なく、あくまでプレーするエリアで判断されます。


ルールを間違えない方法と、ルールの未来

 まずは、自分のボールがどのエリアにあるのか、把握することがルールを間違えない大前提となります。どこから打ったか、どこで止まったか、しっかりと把握して、エリアごとのルールを覚えてほしいと思います。

 ルールは定期的に改正されますが、2019年に大幅なルール改正が予定されていて、エリアごとの複雑なルールが改定されることが決まっています。ゴルフのルールが複雑なので、もっとシンプルにして、ゴルファーを増やそうというのが目的です。変更が予定されているルールは、JGA(日本ゴルフ協会)のWEBサイトに掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。

[著者プロフィール]
マーク金井(まーく・かない)
クラブアナリスト。ゴルフ誌だけでなく、TV、ラジオなどさまざまなメディアで活躍する、自称「ゴルフ芸人」。ハンデ3の腕前と豊富な知識を活かした、わかりやすい試打レポートには定評がある。最近はクラブ設計者としても活躍、メーカーが作れなかった、アマチュアを救うクラブを設計。悩めるゴルファーのために自らゴルフスタジオ・アナライズを主宰している。最近発売した電子書籍「一生役立つゴルフ」シリーズ3部作は、アマチュアゴルファーを救うコースマネジメントや考え方が話題となり、電子書籍としては、記録的な売上を記録して、書籍として発売される
■ANALYZ
http://www.analyze2005.com/

 

<Edit:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>