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2018年5月25日

ヘルシー惣菜や食イベントが充実。逗子「AID.KITCHEN(エイド・キッチン)」が目指すもの (1/2)

 トップアスリートに限らず、スポーツに取り組むうえで栄養に気を配っている方は多いでしょう。実際、食事は競技パフォーマンスに大きく関わるもの。しかし毎日のように栄養を考えたメニューを考えることは、容易ではありません。では、どうすればいいのでしょうか。

 おそらく健康食品のように栄養価の高いものを購入する、あるいはヘルシーメニューを提供する店での食事を思い浮かべる方は多いはずです。しかし“惣菜”なら、より手軽で身近に利用できるかもしれません。

 今回取材した「AID.KITCHEN(エイド・キッチン)」は、まさにそんな栄養に配慮した“惣菜”を提供しています。2017年10月にオープンし、オーナーシェフを務める郡山総平さんはアスリートフードマイスター資格を持っています。そのコンセプトやメニューなどについて、オープンまでの経緯を踏まえながら伺いました。

異業種からの転身。ヘルシーな食を手軽に楽しめる“惣菜屋”の誕生

 もともと飲食業に携わっていたのかと思いきや、なんとまったくの異業種から転身したという郡山さん。しかし土台となるスポーツ、そして料理については、趣味として身近にあったようです。

「もともとは飲食など関係なく、通信・建設系の企業に勤めていました。主に現場で働く職人さんへ、仕事をお願いするような立場ですね。趣味はランニングとサーフィン、そして料理。だいたい同じような割合で取り組んでいて、仲間とランニング後にホームパーティーを開くこともありました。妻もサーフィンが趣味で、出会ったのはその企業にいた頃です。妻は料理が苦手で、基本的に家ではお弁当なども含めて私が料理担当。2人とも身体を動かしますし、仕事していると不規則な生活になりがちです。ですから、その頃も栄養には配慮していましたね。そしたら、いつも『おいしい』と言ってお弁当を空っぽにしてくれるんですよ。その言葉に、とてもやりがいを感じていました」

 ちょうど当時、郡山さんは仕事に行き詰まりを感じていたそうです。トラブルが起きてはその対応に奔走し、解決するまで事務所から出られない。さらに通勤では2時間もの時間を要しており、もっと別のことができるのでは……と感じていたとのこと。このことを奥さんに相談した際、転身のキッカケとなる言葉が返ってきたと言います。

「『それなら、好きなことを仕事にすればいい』って言われたんです。この言葉に背中を押され、会社を辞めることにしました。でも実際のところ、何をすればいいのかなんて分かりませんでした。そんな中、妻が私の料理をおいしいと言って食べている姿を見て、コレか! って気づいたんです。そして妻も、それを応援すると言ってくれました」

 しかし、当時すでに30代後半という年齢。料理学校も浮かんだものの、これから通って学ぶのでは時間がかかります。そこで郡山さんは、奥さんの知人が営む日本懐石料理店へ修行に。その後も何店か経験し、プロとしての技術を磨いていきました。

「最初、定食屋でもいいのかな? なんて思っていたんですよ。でも妻と話して、どうせなら自分たちにしかできないことをやろうって決めました。そんな中、オックスファム・トレイルウォーカーというアウトドアイベントで、食事をサポートする機会を得たんです。いわゆる“エイド”ですね。お腹を空かせた参加者が、私の作った食事を楽しみにしてくれている。その姿を見て、食でサポートする楽しさを知りました。それで、何をするにも“エイド”という言葉を使おうと決め、具体的に考え始めたんです。結果、アスリートフードマイスターなどの資格を取得。本当は個人でアスリートをサポートすることも考えたのですが、妻の『みんなに食べてもらおう』という言葉からお店を開くことに決めました」

 そして生まれたのが「AID.KITCHEN(エイド・キッチン)」。名称が先に決まったというのは驚きましたが、まさに郡山さんらしさが表現されているように感じます。より手軽にヘルシーな食を提供したいという思いから、惣菜という形を選択。逗子周辺には健康に配慮した飲食店こそあるものの、惣菜屋のように手軽なお店がありません。そうした環境背景もあり、連日多くのお客さんが店舗を訪れる人気店となっています。

走って食べに来るランナーも!? 実際に料理を食べてみた

 お惣菜屋でありながら、店内にはその場で食事できるテーブルも数席設けられています。暖かい時期は屋外にテラス席も設けるとのことで、食を存分に楽しめる環境です。店内はとても落ち着いた雰囲気で、おひとりさまから家族連れまでゆったりと寛げることでしょう。

 飲食業が初めてとは思えないほど、手際よく調理を行う郡山さん。週末になるとランナーやサーファーなどが多く訪れますが、平日には年配のお客さんもいらっしゃるそうです。中には走って食事に訪れるランナーもいるそうで、“ランナーの聖地”なんて呼ばれる日も近いのではないでしょうか。しかしその他にも、予想外の層から利用が増えていると言います。

「授乳期の女性が増えています。外食は難しいから自宅で食事するものの、1人だとつい簡単料理になっちゃうじゃないですか。でも、やっぱり食べたものから得た栄養がお子さんに渡るので、栄養には気をつけたいという気持ちがある。簡単に済ませたいけれど、インスタントは嫌……そんなとき、お惣菜は重宝するみたいです」

 調理に没頭する郡山さんをサポートする妻・南さん。息の合った夫婦だからこそ、忙しい時間帯でもしっかりお店を回しています。南さんの笑顔あふれる接客も、「AID.KITCHEN」を訪れたくなる1つの理由なのかもしれません。

 今回の取材で、私も実際に料理を食べてみました。ランチタイムに提供される「3品のヘルシーデリ・プレート」(税抜850円〜)は、ディスプレイに並んだ中から好みのデリを3つ選べます。さらに玄米とミニサラダが付き、玄米は100円で大盛りも可能。BOXでテイクアウトもできます。

 味わいは優しく、野菜がたくさん使用されたヘルシーメニュー。これは選んだデリによりますが、プレートの見た目も彩りがとてもキレイです。ちなみにこちらのプレートは「にんじんのサラダ」「せりとウドの春のフリッタータ」「ズッキーニのミートグラタン」という組み合わせ。時期によって季節の食材が楽しめるのもうれしいポイントではないでしょうか。特にフリッタータは見た目以上にいろいろな具材が詰まっていて、とても味わい深いひとしなでした。ぜひ皆さんも、イチ押しの組み合わせを探してみてください。

アウトドアや食を軸とした各種イベントも開催!

 おいしくてヘルシーな惣菜を提供する「AID.KITCHEN」では、定期的にアウトドアや食に関するイベントも開催しています。

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