インタビュー
2019年12月2日

いろいろなスポーツをしてきたことが、今、自分の財産になっている。カヌー日本代表・羽根田卓也(後編)|子どもの頃こんな習い事してました #28 (1/2)

 スポーツ界の第一線で活躍しているアスリートに、幼少期の習い事について訊く連載。自身の経験を振り返っていただき、当時の習い事がどのようにその後のプレーに活かされたか、今の自分にどう影響しているかを伺います。

 カヌー日本代表の羽根田卓也選手が小学校時代に取り組んでいた器械体操やミニバスケットボールはカヌーの競技にどのように生かされたのでしょうか。

前編:器械体操を習ってバク転もできたけれど小学3年生でカヌーに転向、でも川が怖かった。カヌー日本代表・羽根田卓也(前編)

子どものころにいろいろな動きをしたことが今に生きている

――小さいころに習っていた器械体操やミニバスケットボールなどは、その後のカヌーに生きましたか。

生きていますし、今もトレーニングの一環としてバスケやサッカー、いろんなスポーツをするようにしています。何か軸となる競技はあってもいいと思うけど、子どものうちはそれだけしかやらないのではなく、他のさまざまなスポーツもやったほうがその競技のためになると思う。僕はカヌーを軸に、器械体操やバスケ、家族みんなでスノーボードやスキーもしていました。それが今、財産となっている。いろんなスポーツをさせてくれた家族に感謝しています。

――さまざまなスポーツをしたほうが全体的に鍛えられるということでしょうか。

鍛えられるというか、いろんなスポーツをすることで自分がイメージした動きができるようになって、どんな動きにも対応できる万能な体になれると思うんです。器械体操は飛んだり跳ねたりいろんな動きをします。その動きを体に覚えさせ、動きの基礎ができたことで、そのあと他のスポーツに取り組んでも割とスッとできるようになりました。それが今、カヌーでの力の入れ方や細かなコントロール、ゲートをくぐるときの姿勢などにつながってると思います。

――スポーツは全般的に得意ですか。

得意不得意でいうと得意ですし、体育の成績はずっとよかったですね。あとは、外で遊ぶのが好きだったので常に体を動かして自転車で走り回っていました。ケードロと自転車ですね。今思えばそれも立派なトレーニング。子どものころは歩く、走る、自転車をこぐ、体を動かすことすべてが自分のためになって将来につながると思います。

――スイミングを習っていたことはカヌーに役立っていますか。

泳ぎの基礎はできているので運動という意味では役立っていると思いますが、泳げる・泳げないはあまり関係ないかな。カヌーはライフジャケットを付けているので、泳げなくても浮くから大丈夫。それでも激流は怖いですけど。

スロバキアに行って器械体操の経験を誉められた

――高校卒業後はカヌーの強豪国スロバキアに留学しましたが、海外の選手は日本人選手と違いますか。

全然違います。スロバキアはカヌーを競技として行う環境が整っています。その環境が日本になかったから自分はスロバキアに行きましたし、その環境の差が日本人選手と海外の選手との差になっています。

――海外の選手も幼少のころからいろいろなスポーツをしているのでしょうか。

みんなしていますね。そもそも「いろいろなスポーツをしたほうがいい」ということを知ったのは、スロバキアに行ってからなんです。小学校当時は“カヌーのために”器械体操やミニバスケットをしていたわけではなくて、たまたま。スロバキアで「子どものころ器械体操をやっていた」と言ったら、「それはいいね」と言われて、「なるほど」と。

スロバキアはサッカー、バスケ、冬はクロスカントリースキー、アイスホッケーも盛ん。スロバキアの選手も、とにかくいろんなスポーツをしているそうです。

――羽根田選手は、スポーツ以外にも書道や英会話を習っていましたが、その経験は生きていますか。

それはあまりちゃんとやってなかったので、いま身についているかというと疑問ですね(笑)。字はきれいじゃないし。ただ、友だちと楽しく通っていたことはいい思い出です。親はよくやらせてくれましたよね。僕が親だったらそんな遊び半分では絶対やらせないですけど(笑)。達筆になるとか英語ペラペラになるとか、淡い期待を抱いていたのかもしれない。

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