インタビュー
2017年5月29日

反省は調子が良いときにするべき!?【里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術 #1】 (1/3)

 元千葉ロッテマリーンズ捕手の里崎智也さんは、チームで2度の日本一に輝き、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも正捕手として世界一を成し遂げた名選手です。しかし、いわゆる“野球エリート”ではありません。実は大学時代までは教員免許を取って地元に帰ろうと考えていたそう。

 そんな里崎さんがプロ野球界で活躍できた理由を綴った著書『エリートの倒し方——天才じゃなくても世界一になれた僕の思考術50』(飛鳥新社)が上梓されました。

 ここで記された思考術は、その多くが常識の範疇を超えたものが多いものの、的を射ているものばかり。なかにはビジネスパーソンにとっても、ヒントになる考えや実践術が多数あります。その独自の考え方について、里崎さん自身に話を伺いました。

調子が良いときこそ“反省”するべき

——著書には、常識をくつがえすようなアイデアがたくさん詰まっています。

そうですか? ぼくにとってはこれが常識なんですけどね。

——例えば、「調子が悪いときに反省するのは意味がない」という点が印象的です。

究極を言ってしまえば、調子が悪い時期なんかない方が良いじゃないですか。その期間を短くするためには、調子の良い状態を保つ必要がある。だったら、調子が良いときの自分の状況を把握しておかないといけないですよね?

——確かにそうです。

そう考えたら、反省すべきなのは調子が良いときにかぎるんです。調子が悪いときって、何に絞って改善すべきなのか自分でもわからなくなるから。逆に調子が良いときって、何か悪いことがあっても改善点が明確で、それをポイントごとに修正できるんですよ。

——里崎さんが現役のときはどんなことに気をつけていましたか?

「立ち姿」と「構え」ですね。これがダメなときは、バッティングもキャッチングもすべてがうまくいってなかった。でも、自分の良いときの形を知っているから、うまくいっていないときでもどこが悪いというのがすぐにわかるんです。その悪い状態をパターン化していって、状況に合わせてベストな方法で改善していくんです。

——それは確かに良い状況をわかってないとできないことですよね。

だから、自分の状態を把握するための作業は怠りませんでしたね。試合前の守備練習には送球やキャッチングの動作確認をやっていましたし、客観的に自分の状況を把握するためにスカウティングの映像も見ていました。

——そういった里崎さんの考え方は一般のビジネスパーソンでも応用できそうです。

そうかもしれないですね。まずは自分のスケジュールを確認してみれば良いんですよ。もしかしたら、調子が良いときは朝起きる時間が早いのに対して、悪いときは出勤のギリギリになってる、とかあるかもしれないですよ。

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